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klisAdventCalendar2025

これは「klisAdventCalendar2025」の最終日の記事です.
昨日はnotch_manさんの「人生は貪欲法で突き進もう!」という記事でした.ライフワークバランスは壊れたほうがいいかもしれないなと思いました.

あと、今年提出率低いですね……

知識共有現象とは一体……

自己紹介

どうもロマノフです.

メリークリスマスです.

筑波大学情報学群知識情報・図書館学類の3年生で機械学習・言語理解研究室に所属しています.
興味の変遷を語ります.

自分は周りに流されやすいタイプです.なので、大学入学当初から現在に至るまで、色々と興味対象が変動しました.その結果、入学当初思い描いていた状態とは全く異なる現在地があります.

その変遷を振り返ってみるのも良いかなと感じたので、それを書くことにしました.

需要があるかは分かりません

暇つぶしにどうぞ.

klis生のアイデンティティ・クライシス

いきなり脱線します.
klis生は自分が及び自分の学類が「何を専門にしているか」を説明することに戸惑うことがよくあると思います.実際、この学類は色々な方面に手を伸ばしすぎていて、生徒はどんな専門性をアイデンティティにすれば良く分かっていません.結果として「なんか図書館とか~、知識の共有現象とか~、情報検索システムとか~、色々やってます!!!」みたいな専門性の欠片も感じない返答してしまいがちです.

自分の偏見で語ってます

ここで、「私はそうではない」という話をしたいわけではないです.むしろ逆で、自分は主体性が無い側の人間ですし、最初に書いた通り周りに流されやすいです.klisが具体的にどのような分野を専門としているかを適切に説明することなどできません.「図書館情報学って何?」状態であるわけです.そのため、これ以降の記事を読んでも「klisの専門分野」については一ミリも知ることはできません.あくまで、一人の学生がklisの波に揉まれてどう変化したか、という記録です.

klis(というかlis)について知りたければこの記事がおススメです

1年生:入学当初、春学期前半

入学式が2年半も前のことだなんて信じられない(;´Д`)
正直なところこの頃の言動については、ほとんど覚えていない.というか黒歴史的な面も多くて記憶に蓋をしている.

私は入学試験を受けるにあたって、klisがどんな学類なのか調べようともしなかった.この学類を選ん理由は1ː入試方式が独特で倍率が低い、2ː名前に図書館が入ってて情報系、3ː小中高と図書委員、という研究信念の欠片も感じないものだ.なので大学に入って勉強したいことも特段あるわけでは無く、数学やプログラミングのような分かりやすい特技があったわけでも無かった.パソコンに関してもまったくの無知で、情報系の学部で生きていけるか心配だった.まあ、これは杞憂だったが.

強いて言えば、構造主義にハマっていた.きっかけの「知識情報概論」は間違いなく名講義で、ソシュールやレヴィ・ストロースの記号論・言語学についての名著(の解説)を読んでは、その表層の浅い知識を多方面に振りかざしていた記憶がある(黒歴史①)

また、4月末頃から映画鑑賞会を自分の部屋でちょくちょく開いていた.このおかげで今尚仲の良い友人が沢山できた.

TENETの画像

1年生:春学期後半

社会工学システム学類の「都市計画原論」という講義を受けてから、都市計画や都市の成り立ちに興味を持つようになった.しかし、当然klisにはこの分野に関連する講義は、図書館というコンテクストを除くと、存在しない.そこで他学類の講義を取る必要があるのだが、それは大抵本学エリアで開かれていた.そのため春学期を含めて1年生の終わり頃まで、わざわざ自転車で15分かかる本学の講義室まで足を運び、都市系の講義を受けていた.

他学類の講義の面白さに気付いたのもこの頃で、シラバスやKdbを読み漁っては良い講義がないか探していた.都市系から派生して経済学や社会学の講義を取ろうとしていたと思う.

講義とは別に、「現代視覚文化研究会」(以降”げんしけん”)というサークルに入会した.私はおそらくオタクなのだが、大学に入るまでライトノベルもアニメもほとんど見たことが無かった.唯一『GRIDMAN』だけは劇場版を5回程リピートするくらいには好きで、この作品についてのレビュー・考察(笑)を数十ページ書いて記事にした(黒歴史②)
この頃はまだ純粋に”げんしけん”を楽しめてたと思う.

1年生:夏休み

旅行に行った.

1年生:秋学期前半

春学期に引き続き都市系の講義や他学類の社会システムに関する講義を受けていた.こういう講義を受けていると、モノを上から眺めて、少し頭が良くなった気分になれた.そんな即時的な報酬を目当てに受けていたのかもしれない(もちろん、純粋な興味もあったが)

ちなみにこの頃のklisの講義については、本当に何も記憶に残っていない.

あとは11月中頃に”げんしけん”の副会長に就任した.まだ平和だった.
平和だったころの自分

1年生:秋学期後半

虚空.
カレンダーを見たらバイトしかしていなかった.

2年生:春学期前半

ようやくklisの講義の面白さに気がつく.「知識とは何か?」、「知識資源の組織化とは?」、「情報探索行動にはどんな情報要求が隠れているのか?」、こんな輝かしく見えるトピックに、心を躍らせていた.周囲の友人も盛り上がっていて、講義の度に議論を交わした.この時期が一番klis生らしい勉強をしていた.
昨年度の成績が良く、取得単位の上限が上がっていたこともあり、高学年向けの講義も沢山取った.

そういえば今、思い出したのだが、「Cousera:GoogleDataAnalytics」の修了資格を春休みに取得していた.今の今まで役に立ったことは無い.

この頃から資格教に入信している

2年生:春学期後半

講義「多変量解析」に〇されかける.春Aの統計の講義を受けた頃からその兆候はあったが、高校生の時にちゃんと数学の勉強をしなかったことを後悔するようになった.
さらに良くないことに、春学期前半で盛り上がっていたlisへの熱意が急速に縮んでいくのを感じた.理由は伏せる.

情報科学類の関数型言語に関する講義を受けたが、まったく響かなかった.一方で友人mは、それに飲み込まれてしまった.

2年生:夏休み

最も自分の関心が定まっていなかったのは、おそらくこの頃だ.強弱はあれど以下のようなものに関心があったと思う.

  1. lis(library and Information science,図書館情報学)
  2. ML(Machine Learning, 機械学習)
  3. LLM(Large Language Model, 大規模言語モデル)
  4. 公務員試験

1に関しては、2~4を勉強するにつれて消失していった.そもそも周囲にいるlisに熱心な友人でさえも、それが具体的にどのようなものであるか分かっていなかった—最初に書いた通り、私は今でも分かっていない.そんな不確かなものを、自分が将来的に専門にする未来が見えなかったので、諦めたのだと思う.さらに言うなれば、元から関心など持っていなかったのかもしれない.ただ、これに対して周りに合わせて踊るのを辞めただけなように見える.
2と3については、これまでの記述で欠片も要素が出てこなかったので、突如現れたように見えるかもしれない.きっかけは友人sに東京大学松尾研究室の長期オンライン講義を一緒に受けないかと持ち掛けられたことだった.それまで講義でしかプログラミングをしてこなかった上に、前述の通り数弱なので、この分野に対しては何の知識も持ち合わせていなかった.が、面白そうなので受講することにした.
4については、よく聞く安定感という側面だけを信じて勉強を始めた.小学校の頃から「将来は公務員になって安定や!!!」と意気込んでいる子供だったので、そういう根幹の部分は成長していないなぁと感じる.

2年生:秋学期前半

関心については夏休みから変化なし.
公務員講座を受けるための教材を買うために10万円、親から支援して貰った.3か月で挫折した.

また、ガリ勉寺高校(命名:友人k)出身なこともあって、12月に基本情報技術者試験をガリ勉して突破した.

あとは11月中頃に”げんしけん”の会長に就任した.もう平和じゃなかった.

2年生:秋学期後半

本格的にMLの勉強を始めた.特にこの時期に理論面について深く学べたと思う.手塚本おススメです.

公務員の試験勉強をしているうちにある事に気が付いた.それは自分が公務員に向いていないということだ.10万円の教材は友人に全部あげた.

春休み中にPCを組んだ.
RTX5070

3年生:春学期前半

klisは3年生に上がるタイミングで、それぞれの関心に合わせて3つの主専攻から1つを選んで進学する.私はシステム主専攻という、klisの中ではCSチックな分野を扱う専攻を選択した.これ以外の選択はあり得なかったが、プログラミングがそれまでの2年間で上達していないのが悲しくて不安だった—今も.さらに悲しいのは、klisのカリキュラムの中では、プログラミングができなくてもまったく困らなかったこと.

LLMへの研究的な関心は無くなっていたのだが、ML分野自体への関心は絶えずあって、理論からどう実装するかの勉強をしようとしていた.しかし、あまり上手くいかなかった.というのも、教材に書かれているコードが表現していることと、実際にML技術を活用しているシステムの規模感とがまったく頭の中で結びつかず、「こんな写経は意味があるのだろうか」という疑念がよぎり、手が付かなかった.

しかし、流石にプログラミングが出来なさすぎると思いAtCoderを使ってアルゴリズムの勉強を始めた.アルゴリズムは2年生の頃に一度勉強したのだが、忘れていることが多かったので、良い復習になった.PythonではなくC++とC#ではじめた.

また、ガリ勉寺高校出身なこともあって、4月に応用情報技術者試験をガリ勉して突破した.

3年生:春学期後半

友人に誘われて「知的探求の世界Ⅰ- 1」という講義を取った.詳細についてはmastAdventCalendar2025に書いたので割愛するが、これを期にマルチエージェントを扱う分野に興味を持ちだした.(マルチエージェントを”扱う”って正しい表現じゃない気がする)
それと並行して強化学習にも興味を持った.経験が学習データになるって素晴らしいと思う.

3年生:夏休み

3年目の夏にして、ようやく自我が芽生える.

もとより3年生で就活をする気はまったく無かったのだが、語れる実績が一つも無い不安からゲーム業界のインターンに応募したり、参加したりした.なぜゲーム業界なのかというと、唯一、内的動機を持って働けそうな業界であるからだ.

あまりポジティブでない動機から始まった挑戦ではあったが、結果として、自身の進むべき道を再定義する大きな転換点となった.

それまでは学問に対して分野単位の漠然とした興味しか抱けていなかったが、インターンでの経験を通じ、ゲーム業界で求められる具体的な知識・技術を身に着け、研究したいという意欲が芽生えた.それは偶然にも、春頃から注力していた学習分野でもあった.

現在

10月中旬頃に、三宅陽一郎の「ゲームAI技術入門 : 広大な人工知能の世界を体系的に学ぶ」を読んだことを発端に、産総研の社会知能研究チームにテクニカルスタッフとして勤務することになった.経緯はほとんど省略している.自分の関心と募集があった研究内容が、かなりマッチしており、募集を見つけた当日に担当研究員の方にメールを飛ばした.そしたらトントン拍子に話が進んで驚いた.

そんなわけで今は以下のようなことに興味を持っている.

  1. マルチエージェント強化学習
  2. 創発コミュニケーション
  3. マルチエージェント経路計画問題
  4. ゲームAI
  5. (統計検定)

1と2は大学の研究室を通して、3は産総研の業務を通して、知見を蓄えながら研究を始めようとしている.それぞれの具体的な研究内容は冗長になるので割愛する.

4と5は興味を持っているだけでほぼノータッチ

今度の人工知能学会で担当研究員の方がセッションを企画しているので、興味がある方いれば是非(OS-1)

自分の2年半は以上である.

さいごに

こうして振り返ってみると、3年生の夏休み以降を除いて、自分の関心はほとんど外から何かしらの干渉を受けて発生していることを実感できた.己の主体性の無さに呆れてしまう.一方でこうであったからこそ、今の自分があると考えると悪く無いようにも思える—コーディング能力を鍛えなかったことは本当に後悔しているが.
ただ最近は、分野に興味を持つだけでなく、その中でどんな課題に取り組むことに関心があるのかを考えるようにしている.

むしろ今まで考えていなかったのか

これから(修士課程を経て)就職するにせよ研究を続けるにせよ、そういった課題意識が無いと、今までのような「何をやっているのか説明できない自分」でい続けることになる.それは自分でも嫌だし、周りにも申し訳ないので、何とか乗り越えたいと思う.

さて、klisという「何にでもなれる(し、何にもなれない(かもしれない))」環境にいる皆さん、

……

……

……

(何も思いつかないな……)

貪欲に何でもやりましょう!!!

良いお年を.