これは「mast Advent Calendar 2025」の8日目の記事です.
7日目はMYさんの「~~mitmproxy~~DNSを使ったSNSブロックについて」という記事でした.
本記事の著者はklis3年のロマノフです.
mastな皆様、初めまして.
よくある研究室配属の話をします.
klisでは10月いっぱいを使って卒業研究のための研究室配属戦争が行われました.その結果として私は機械学習・言語理解研究室(以降:wkb研)に配属されることになりました.wkb研はklisではなくmast所属の研究室です.どんな研究をしているかはHPを見ていただければ良いのですが、参考として以下の文章を引用して載せておきます.
本研究室が明らかにしようとしている問いは,「言語を理解するとはどういうことか」です.この問いに答えるためのアプローチとして,機械学習を用います.また,この問いに答えようとする取り組みを通して得られた知見が,どのように言語を扱う人工知能(AI)技術の発展に貢献できるかを考えます.
klis生がmast研究室に配属されるというのは珍しい話という訳では全く無く、他にもotiAI研やM&I研など、mastの研究室がklisからも配属希望を募るケースはいくつかあります(非正規なルートを含めれば、いくらでもあるという考え方も出来る).
ただ、それでも絶対数は少ないので、wkb研に配属されるまでの過程を書き残せたらなと思ったのが、アドカレ執筆の動機です.
klisで開講している通年講義に「知的探求の世界Ⅰ- 1」というものがあります.この講義はwkb研の指導教員のwkb先生が担当しています.シラバスには色々と書いてありますが、ざっくりとまとめると以下のような講義と言えます.
AREとは意欲のある1~3年生の研究活動を支援する枠組みで、採択された場合、研究室配属前であっても教授(アドバイザ教員)の下で研究をすることが出来ます.「知的探求の世界Ⅰ- 1」もテーマが開講している教授の専門分野に限られるという制約はありますが、AREのように教授の下で1年間研究活動をすることができます.ただAREほどの自主性は必要なく、教授や他受講生と話し合いながら、研究や講義の方向性が定められていきます.なので年度ごとに具体的な内容は変わるものだと思います.
私はこの講義を今年受講しているので、まだ途中段階であるわけですが、主に以下のようなことを行ってきました.(詳細に書くと本筋からズレてしまうので、ざっくりと)
今年度開始の時点で、私は独自に研究や実験を進められる知識や実装力を持っていなかったために、だいぶwkb先生頼りな進行となってしまっているが、最近はそれなりに知識は付いてきた気がします.(実装力は乏しいまま)
今後、研究発表できるレベルに成果を挙げられるかは分かりません……(頑張ります)
話がだいぶ逸れた気がするのですが、ともかくこの講義を通してwkb研の存在を知りました.ついでに研究室の雰囲気やwkb先生の考えも色々と知れたので、受講して正解だったなと思います.
講義名は忘れましたが「知的探求の世界Ⅰ- 1」と同じ講義が別名で、mastにもあります.
wkb研の存在を知ってから、それ程経たない内にklisからも配属可能であることも知りましたが、当時はあまり希望候補には挙げていなかった気がします.ただML系の研究室に行きたいとは思っていたので全く意識していなかったわけでは無かったと思います.曖昧でスミマセン……
また話が逸れるのですが、私はゲーム開発系の職務に就きたい願望があり、夏休みはそれ系のインターンシップに申し込んだり、参加したりしてました.その中でRL(reinforcement learning)がアツいみたいな話をちょくちょく聞きました.(大まかに捉えるとRL分野に当てはまるよねという話ですし、これは昔からそうです)
wkb研も研究に用いる技術にRL関連が多く並んでいるので、将来的にもマッチしている部分があるかなとは考えたりしていました.
それもあって、なんとなくwkb研に行く機運が少しずつ高まっていきました.
夏休み初めごろにklisOBで若林研出身の研究者のブログを見つけて、自分が所属することのハードルが下がったような気がしました
前節にも書いた通り夏休みの段階で、「○○研に絶対に行く!!」という明確な希望を持っていなかったので、10月に入り研究室配属のための面談予約などが解禁されたみたいな話を聞くとだいぶ焦りました.
それでも10月の第1週終わりにはどの研究室に面談に行くかは決めてアポイントメントを取りました.最初に面談したwkb研とYM研が自分の関心とマッチしているかつ、所属していることのメリットが大きくあるなと感じ、その2つに絞って考えました.結果論ではありますが、配属戦略としてこの2つの研究室を選んだのはだいぶ正解だったと思います.今年もML系のM&I研やKaTo研は志望人数が多く激戦だったと聞いたので.むしろ私はwkb研やYM研などの魅力的な研究室への志望人数が少ないことを不思議がっていました.(ネガティブな意図はありません)
「知的探究の世界」を受講しているので、定期的にwkb先生とはコンタクトを取っていましたが、実際に配属希望を伝えたのは面談を申し込んだ翌週に用事があって研究室を訪れたときです.面談では、どんな研究をしたいかというよりは、私のwkb研の専門分野への解釈が間違っていないかの擦り合わせをしました.wkb研はまた手法としてRLを扱っていることに魅力を感じていることも伝えました.実際にどんな研究にするか、どんな研究をしたいかは、配属されてから決めても良さげな雰囲気だったのは安心できました.
あとはネガティブ方向な話として、LLMのプロンプトエンジニアリング研究はやりたくないことも伝えましたが、そもそもLLM自体がほとんど対象外だったので、問題ありませんでした.(私があまりやりたくないだけで、面白く有意義な研究をされている方は大勢います)
YM研も同じような感じで面談して、好感触だったので悩みましたが、最終的なhope登録ではwkb研を第一希望に選びました.
hopeとはklis生が研究室配属の時に希望登録をしたり、配属希望人数を確認したりできるシステムのことです
結果として10月の中旬頃に内定を頂けたので、そのままwkb研に配属決定となりました.
ここまで書いておいて何の話をしているのか分からなくなってきました.
いざ文章にしてみると講義を通して教授と知り合い、関心とマッチしたから、その教授の研究室に所属することなったというありきたりな話でした.ただ、このありきたりなプロセスを踏むことが意外と難しく、機会も少ないのかもしれない.
実際、学部1,2年生の頃を振り返ってみると、教授と膝を突き合わせて「自分の関心」について議論したり、話し合えるような関係を自然に築ける機会はそう多くはありませんでしたし、私はあったとしても勇気が無くて踏み込みませんでした.関心はあっても無知であれば、一方通行な話し合い・議論になってしまい、その後何かしらの関係に発展させることは難しいです.意外とハードルは高いのでは.
それなのに、いざ3年生になって研究室配属の時期が来ると、急に教授や研究室とのマッチングが学生側の視点からは最重要視されます.普段接点がない状態で、Webサイトやシラバスだけの情報を頼りにマッチングを判断するのは、武器を持たずに戦場に出るようなもので、結果として、何も知らないまま配属希望を出す「不毛な情報戦」に巻き込まれがちです.(面談で話し合えることにも限度があります)
特に事前の何の取り組みもなく学部外の研究室を所望する場合は、学部内での争いは避けられるかもしれませんが、一方でより情報が不足する事態に陥りがちな気がします.
情報不足への解決策は、より早く動き出すことであるのは自明ですが、だからといって即行動に移れる人は少ないと思います.私も講義を受けたきっかけは友人に誘われてのことでしたし…….
そういう訳なので、この記事で、学部外研究室に所属するサンプルケースを1つ共有することで、少しでも情報を補填できればなと.
配属方法がGPAジャンケンである学類が多い気がするので、実際の配属の際にはあまり役には立たないかも
以上、mastAdC2025の8日目の記事でした.mastな皆様、何かしらのご縁があった際には仲良くしてください.
明日はHarumaさんの何かしらの記事があがります.